2009年7月の「大腸癌治療ガイドライン 医師用2009年版」刊行後に国内承認を受けた治療法について、下記の情報提供を行います。
2009年8月にFOLFOX4またはmFOLFOX6療法による術後補助化学療法が国内におきましても承認されました。これを受けて、ガイドラインの『5-1 術後補助療法』の「推奨される療法」(P24)に、"FOLFOX4またはmFOLFOX6療法"を追加します。
⑦StageIII結腸癌に対する術後補助化学療法として、静注5-FU/LV療法にL-OHPを併用した場合(FOLFOX4療法,FLOX療法)の再発抑制効果および生存率のおける上乗せが欧米のRCTで示されている97-100。国内でも2009年8月に上記適応内容で承認され使用可能となった。(CQ 14を参照)
推奨カテゴリーA
oxaliplatinは2009年8月、術後補助化学療法の適応が承認された。対象の選択にあたっては、期待される生存率における上乗せのみならず、有害事象および医療コストについての十分なインフォームド・コンセントのもとに適応を判断する必要がある。
海外の臨床試験であるMOSAIC試験の成績に基づいて、FOLFOX4またはmFOLFOX6療法による術後補助化学療法が国内におきましても承認されました。2009年8月に承認となったのはレボホリナート(LV)+フルオロウラシル(5-FU)持続点滴療法との併用療法のみで、oxaliplatinの投与方法は85mg/m2/2Wです。承認の根拠となった臨床試験の成績から、対象となる進行度はStageII+III、投与期間は術後6カ月間が推奨されています。
実臨床では、ガイドライン「適応の原則」(P24)および「CQ 14:術後補助化学療法におけるoxaliplatin(L-OHP)」(P52)の記載を参照して、適応を判断することを推奨します。なお、5-FU+LVの急速静注法との併用(FLOX療法)および経口抗がん剤との併用は添付文書の「効能・効果」および「用法・用量」には記載されていません。
これまでLVおよび5-FUの静脈内持続投与法との併用に限られていた治癒切除不能進行再発大腸癌に対するoxaliplatinの用法が、2009年9月に他の抗悪性腫瘍剤との併用についても国内で承認されました。これに伴い、経口抗がん剤+oxaliplatin+/- bevacizumab併用療法が使用可能となりました。
これを受けて、ガイドラインP26 -27のアルゴリズム、一次治療および二次治療以降のFOLFOX+/-bevacizumab療法に、経口剤レジメンであるcapecitabine+oxaliplatin+/-bevacizumab療法を追加します。
(現)「FOLFOX療法(+/-bevacizumab)」⇒(変更後)「FOLFOX療法(+/-bevacizumab)およびcapecitabine+oxaliplatin(+/-bevacizumab)療法)に変更します。
海外の臨床試験であるNO16966試験 及び NO16967試験により、capecitabine+oxaliplatin併用療法(+bevacizumab併用)とFOLFOX4療法(+bevacizumab併用)の非劣性が検証されました。これらの試験では経口剤併用療法と持続静注療法の非劣性と、一次療法におけるbevacizumabの上乗せ効果が確認されています。これらの臨床試験成績をうけて、これまでLVおよび5-FUの静脈内持続投与法との併用に限られていた治癒切除不能進行再発大腸癌に対するoxaliplatinの用法が、2009年9月に他の抗悪性腫瘍剤との併用についても国内で承認されました。これに伴い、経口抗がん剤+oxaliplatin+/- bevacizumab併用療法が使用可能となりました。bevacizumabの投与が可能な症例では、併用することが推奨されます。capecitabineの併用療法では、capecitabine投与期間は14日間内服、21日毎の繰り返しであり、これにbevacizumabを併用する時には7.5mg/kg/3Wが推奨されます。
また、これまで結腸癌における術後補助化学療法に限られていたcapecitabineの用法が、2009年9月に治癒切除不能進行再発大腸癌についても他の抗悪性腫瘍剤との併用療法として、国内で承認されました。
以上