会長挨拶

大腸癌研究会 会長 上野 秀樹

2026年1月24日、味岡洋一前会長の後任として大腸癌研究会第9代会長を拝命いたしました。歴史と伝統を有する本研究会の会長職は極めて名誉あるものであり、その責務の重さを強く認識しています。1973年の創設以来、本研究会は歴代会長の卓越したリーダーシップのもと、大腸癌領域における臨床・研究の発展を主導して参りました。

日本における大腸癌診断と治療は、独自の発展を遂げてきました。その背景には、国内で策定された大腸癌取扱い規約および大腸癌治療ガイドライン、さらに全国大腸癌登録事業という基盤があります。初版となる大腸癌取扱い規約は、研究会創設後4年の歳月を経て1977年に大腸癌研究会から発刊され、以降、診療と研究の場に共通言語(標準化用語)を提供してきました。また国内での大腸癌治療の均霑化を目的に、2005年には大腸癌治療ガイドラインの初版が出版されました。いまや両者は大腸癌診断学・治療体系の中核を担っています。1980年開始の全国大腸癌登録事業は、クオリティの高い臨床・病理情報のデータベース化を実現し、我が国の大腸癌疫学的・臨床・病理特性の理解と臨床・研究活動支援に寄与し続けています。1974年の症例から登録が始まり、現在までに、実に27万4千例のリアルワールドデータが蓄積され、これらは大腸癌取扱い規約の定義に則っています。UICC/AJCCとは一線を画するStaging manual(大腸癌取扱い規約)、NCCNやESMOとは独立した自国の治療ガイドライン、そして全国規模の大腸癌登録データベースの3つの独自の基盤を有する体制は他国に類を見ません。

さらに近年、本研究会の活動範囲は確実に広がっており、2012年には遺伝性大腸癌診療ガイドラインが、2024年には炎症性腸疾患関連消化管腫瘍診療ガイドラインが出版されました。次いで2025年には小腸癌取扱い規約が発刊され、今後小腸癌診療ガイドラインの作成も開始されます。患者さんやご家族に標準的な診断・治療法をご理解いただき、安心して治療を受けていただけることを目的とした患者さんのためのガイドラインの取り組みを充実させることも、重要な事業となっています。これらの事業のプラットフォームは、活発な委員会活動とプロジェクト研究にあり、その成果は精力的に取扱い規約や各種ガイドラインに反映されています。

年2回開催される学術集会では、大腸癌の診断および治療上の課題に関して特定の主題が設定され、各施設が当該主題に関するデータを持ち寄り、終日にわたり討論が行われています。現状および問題点を正確に把握し、その解決策を議論する絶好の機会となり、新規研究プロジェクトの立案につながる場合も多くあります。本会は、研究会特有の柔軟性および迅速な意思決定能力を活かした運営を特徴とし、大腸癌治療成績向上のための学術活動をその中心に据えています。

大腸癌研究会がこのような特徴的かつ活発な活動を継続できるのは、会員施設における医療従事者の皆様のご尽力と、大腸癌の患者さんへの質の高い医療提供への使命感に他ならないと認識しております。皆様と共に、先達が築かれた本研究会の優れた学術基盤を維持・発展させるべく鋭意努力する所存です。今後ともご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2026年2月
上野 秀樹

歴代会長挨拶

2026年1月~上野 秀樹
2022年1月~2025年12月味岡 洋一
2018年1月~2022年1月杉原 健一
2017年2月~2018年1月渡邉 聡明
2007年2月~2017年1月杉原 健一
1999年2月~2007年1月武藤 徹一郎
1992年3月~1999年1月安富 正幸
1986年2月~1992年2月神前 五郎
1973年6月~1986年1月陣内 傳之助
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