山田 岳史(日本医科大学付属病院 消化器外科)
これまでの各国における研究結果から、50歳未満で発症する若年者大腸癌の約5%が遺伝性腫瘍、約1%が炎症性腸疾患関連腫瘍であり、90%以上は散発性であることがわかっている。散発性若年者大腸癌は各国で増加傾向にあるが、その理由、臨床病理学的特徴、分子生物学的特徴、治療成績および予後については明らかにされていない。
本プロジェクト研究の主たる目的は、高齢発症の散発性大腸癌と比較することにより散発性若年者大腸癌の臨床病理学的特徴を中明らかにすることである。また、若年発症の遺伝性大腸癌、炎症性腸疾患関連大腸癌との比較を行う。これまでに、散発性若年者大腸癌は低分化腺癌や粘液癌が多い、進行癌で発見される割合が高い、家族歴がない症例が多い、等の報告が散見されるが、これらを明らかにする。次いで、参加各施設から切除検体を収集し、分子生物学的検討を行い、散発性若年発症大腸癌の分子生物学的特徴を明らかにする。