白水 和雄 (久留米大学 医学部外科学講座)
固形癌のPerineural Invasion (PNI)は癌悪性度を反映することが知られており、頭頚部癌、胆管癌、膵癌、前立腺癌の取扱い規約では記載すべき組織学的所見として挙げられている。 一方、大腸癌ではPNIが重要な予後因子であるとの報告は複数存在するが、PNIの統一された定義や分類基準はなく、取扱い規約における組織学的所見の項に記載されていない。
本プロジェクト研究では、多施設研究の分析結果に基づき、予後分別能と判定の客観性を重視したPNIの評価基準を求め、PNIを組織学的所見の一項として大腸癌取扱い規約に記載することの妥当性を明らかにすることを目的とする。
本プロジェクトの研究期間は2年を予定している。検討は、統一された判定基準に基づくPNIの評価をプロジェクト委員施設ごとにおこない、予後などの臨床情報を含む多施設データベースを構築のうえ統計的解析をおこなう。PNI分類基準の妥当性に関しては、予後分別能に基づく臨床的意義と、検者間での判定一致度の観点から評価する。
これらの検討過程を経た上で得られる研究成果は、大腸癌取扱い規約改定の礎の一端となるものと期待される。