寺本 龍生 (国際医療福祉大学山王病院 外科)
直腸癌患者にとって、直腸癌切除後に永久人工肛門になることは、かなりの苦痛と考えられています。近年、下部直腸癌に対して、永久人工肛門を避けるべく、究極の肛門温存手術と称して、肛門を形成する内肛門括約筋(ISR)、さらには外肛門括約筋(ESR)まで切除して吻合する術式が行われています。しかしながら、本術式の根治性、患者の術後の肛門機能およびQuality of life (QOL)における妥当性については、十分に検討されていません。本プロジェクト研究は、本術式を積極的に施行している施設の症例を対象に、腫瘍学的アウトカム、肛門機能、QOLについて、同時期にその他の施設で行われた直腸切断術と比較する多施設共同研究を行うことにより、本術式の妥当性を検証することを目的として活動しています。