菅井 有 (岩手医科大学病理学講座分子診断病理学分野)
早期大腸癌の多くが内視鏡的に治療されるようになってきた。そのような背景から、病理学的な内視鏡的切除判定基準が提案され、それに基づいて治療が行われれば、粘膜内癌と粘膜下層浸潤癌の一部が内視鏡的切除のみで完治することが可能になってきた。その後の内視鏡的切除技術の進歩により、より大きい大腸腫瘍にも内視鏡的切除が行われるようになり、それに伴って新たな病理学的問題が提起されるようになってきた。切除腫瘍における切除断端の問題である。実際、腫瘍の側方断端と深部断端(特に粘膜下層浸潤癌の一部)の病理組織学的判定基準が現場ではしばしば問題になるが、これまで本基準の標準化は行われてこなかった。今回のプロジェクト研究では、上記基準の標準化の確立を目的に研究を行う。今年の7月の本研究会までに研究チームを立ち上げ、2〜3年間で判定基準の標準化の提案を行う。