伊藤 雅昭(国立がん研究センター 大腸外科)
低侵襲な腹腔鏡下手術は、早期結腸癌には標準的治療となりつつあります。しかし、直腸癌に対する腹腔鏡下手術の妥当性は未だに明らかではありません。そこで本プロジェクト研究では、直腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性と有用性を明らかにするため、第I、II相試験を開始しました。
対象は、占居部位がRaおよびRbで、内視鏡的切除や局所切除の適応とならない、術前診断Stage 0~Iの直腸癌です。本研究では、第1段階で安全性を評価し、第2段階で予後を評価する予定です。すなわちprimary endpointを、第1段階では有害事象(縫合不全発生割合)、第2段階では全生存期間としました。Secondary endpointは第1、2段階を通じて、無再発生存期間、根治術施行率、合併症率、手術死亡率、開腹移行率、再手術率、術後在院期間などです。なお本研究は、「腹腔鏡下大腸切除研究会」参加施設で腹腔鏡下直腸癌手術30例以上の経験者が行うことを定めています。