川合 一茂(がん・感染症センター都立駒込病院 大腸外科)
側方郭清を含む原発巣切除術が予定されている局所進行直腸癌症例を対象とし、術前に高解像度MRIを用いて側方転移の有無の予測を行う。Step 1では側方郭清の病理学的検索の結果と術前の画像診断を照らし合わせることで、MRIによる側方転移診断の診断基準を確立することを目的とする。診断基準としてリンパ節の径のみならず形態学的な変化も要素として含める。さらにStep2にてこの診断基準を用い術前に側方転移の予測を行い、これを病理結果と比較することでその正診率を算出する。これまでの報告と比較し高解像度MRIを用い形態学的な評価を行うことで、側方転移の術前診断の感度を高めることを目的とする。
また副次的評価項目として特に次の2点の評価を重点的に行う。まず1点は原発巣における壁外静脈侵襲(Extramural venous invasion, EMVI)と側方転移の相関である。下部直腸癌においてEMVIが重要な予後因子であることは欧米中心に多くの報告がなされているが(ref)、このEMVIの側方転移における意義については未だ十分なStudyがない。そこで原発巣のEMVIの程度と側方転移の相関につき検討を行う。
もう1点は術前の化学放射線療法(Neoadjuvant Chemoradiotherapy, NACRT)や補助化学療法(Neoadjuvant Chemotherapy, NAC)の修飾による側方リンパ節の変化である。前治療前後でMRIの評価を行い、郭清の対象の決定において前治療のどの時点での評価を重視すべきかについて検討を予定している。