村田 幸平(関西労災病院 副院長 外科)
大腸癌取扱い規約第8版では、「虫垂癌と肛門管の癌は、大腸とは別に集計することが望ましい」とされています。しかし、現時点で虫垂癌の取扱いに関する明確な規約はなく、また大腸癌治療ガイドラインにも虫垂癌に関わる記載はありません。一方、国際対がん連合(以下、UICC)のTNM分類(第8版2017年)では虫垂癌については大腸癌と別の分類が行われています。
本プロジェクトでは、過去の虫垂癌手術症例から、診断方法、手術方法、病理結果、化学療法、予後などのデータを可能な限り収集し、本邦における虫垂癌の詳細な臨床病理学的特徴と予後因子を明らかにすることを目的としています。
さらに、UICCによるTNM分類(8版)の妥当性を検証し、本邦に最適化された虫垂癌の病期分類や治療方法を考案し、大腸癌取扱い規約、大腸癌治療ガイドラインへの提言を行うこともできると考えています。