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ガイドライン関連の最新情報

大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版の「切除不能進行再発大腸がんに対する化学療法」に追記すべき臨床試験の結果について(2017年12月)

2017年3月30日、アフリベルセプト ベータが厚生労働省より製造販売承認を取得したことを受けて、大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版の「切除不能進行再発大腸がんに対する化学療法」に追記すべき臨床試験の結果の情報提供を下記の通り示します。

大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版の「切除不能進行再発大腸がんに対する化学療法」に追記すべき臨床試験の結果について(2017年12月)

論文名 Addition of aflibercept to fluorouracil, leucovorin, and irinotecan improves survival in a phase III randomized trial in patients with metastatic colorectal cancer previously treated with an oxaliplatin-based regimen.
掲載雑誌名 J Clin Oncol 2012; 30: 3499-3506.
著者名 Van Cutsem, E. Tabernero, J. Lakomy, R. Prenen, H. Prausova, J. Macarulla, T. Ruff, P. van Hazel, G. A. Moiseyenko, V. Ferry, D. McKendrick, J. Polikoff, J. Tellier, A. Castan, R. Allegra, C.
試験のスポンサー名 サノフィ株式会社
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン

 オキサリプラチンを含む一次治療の化学療法歴を有する切除不能進行再発大腸癌患者に対して、FOLFIRI+アフリベルセプト(アフリベルセプト群、アフリベルセプトは4mg/kgを2週に1回静脈注射)またはFOLFIRI+プラセボ(プラセボ群)にそれぞれ1:1のランダム割付とする、国際共同ランダム化二重盲検第III相試験(VELOUR試験)。

本論文における結果の要約

 2007年11月から2010年3月までに1226名が登録され、アフリベルセプト群とプラセボ群にそれぞれ612名、614名が登録された。主要評価項目である全生存期間は有意にアフリベルセプト群が優れていた(ハザード比0.817、95%信頼区間0.713-0.937、ログランクp=0.0032、生存期間中央値:アフリベルセプト群13.05か月、プラセボ群12.06か月)。前治療におけるベバシズマブ使用有無を含めたサブグループ解析においても同様の傾向を示した。Grade3、4の治療関連有害事象はアフリベルセプト群で62.0%、21.4%、プラセボ群で45.1%、17.4%に認められ、好中球減少(23.1%、13.6% vs. 19.1%、10.4%)、下痢(19.0%、0.3% vs. 7.6%、0.2%)、無力症(16.0%、0.8% vs. 10.4%、0.2%)、口内炎(13.6%、0.2% vs. 5.0%、0%)、感染(11.0%、1.3% vs. 6.1%、0.8%)、高血圧(19.1%、0.2% vs. 1.5%、0%)、蛋白尿(7.5%、0.3% vs. 1.2%、0%)であった。

本論文における結語

 FOLFIRI+アフリベルセプト療法はFOLFIRI+プラセボ療法と比較して有意に全生存期間を延長した。

ガイドライン委員会のコメント

 本試験の結果より、オキサリプラチンを含む前治療に対し不応・不耐となり、臓器機能が良好に維持されているPS0-2の大腸癌患者に対してFOLFIRI+アフリベルセプト療法は生存期間を延長させることが示された。有害事象ではアフリベルセプト群でGrade3/4の好中球減少、下痢、無力症、口内炎、感染、高血圧、蛋白尿の頻度が高い傾向にあり、使用の際にはこれらの有害事象に注意する必要があると考える。わが国は本試験に参加していないが、日本人に対するFOLFIRI+アフリベルセプト療法の第II相試験が行われており、安全性および有効性が確認されている1)

 以上より切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法の治療アルゴリズムにおけるFOLFIRI+アフリベルセプト療法は、FOLFOX、CapeOXまたはSOX療法(ベバシズマブ併用含む)に不応・不耐となった場合の二次治療として位置づけられ、FOLFIRI+ベバシズマブ療法、FOLFIRI+ラムシルマブ療法、FOLFIRI+抗EGFR抗体薬(セツキシマブ、パニツムマブ)療法などと同様に選択肢の一つとして考えられる。また、本試験には、FOLFOX+抗EGFR抗体薬を一次治療として受けた患者は含まれないものの、FOLFIRI+ベバシズマブ療法、FOLFIRI+ラムシルマブ療法などと同様に、FOLFOX+抗EGFR抗体薬後の二次治療としての選択肢の一つと考えられる。

引用文献

1) Sato T, et al. A phase II study of ziv-aflibercept + FOLFIRI in Japanese patients with metastatic colorectal cancer. ASCO-GI, 2017

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