このたび、わが国で行われたSOFT試験の結果が公表されましたので下記の情報提供を行います。
論文名 | Leucovorin, fluorouracil, and oxaliplatin plus bevacizumab versus S-1 and oxaliplatin plus bevacizumab in patients with metastatic colorectal cancer (SOFT): an open-label, non-inferiority, randomised phase 3 trial |
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掲載雑誌名 | Lancet Oncol 14: 1278–1286, 2013 |
著者名 | Yamada Y, Takahari D, Matsumoto H, et al. |
試験のスポンサー名 | 大鵬薬品 |
前治療歴のない切除不能進行再発大腸癌患者を対象に,主要評価項目を無増悪生存期間とし,標準治療であるFOLFOX+bevacizumab療法(以下、FOLFOX+Bmab)に対するSOX療法(オキサリプラチンとS-1の併用療法)+bevacizumab療法(以下、SOX+Bmab)の非劣性を検証する第III相試験である。
観察期間中央値18.4ヶ月の時点で,無増悪生存期間中央値はFOLFOX+Bmab療法群(255例)で11.5ヶ月,SOX+Bmab療法群(256例)で11.7ヶ月であり,非劣性が証明された(ハザード比1.04,95%信頼区間0.86-1.27,非劣性の検定 p=0.014)。Grade3以上の有害事象として,FOLFOX+Bmab療法群では白血球減少及び好中球減少が有意に多く、SOX+Bmab療法群では下痢,食欲不振の頻度が有意に高かった。また、SOX+Bmab療法群において、Ccr(クレアチニンクリアランス)70mL/min未満の患者ではGrade 3以上の下痢の頻度が21%であったのに対し, Ccr 70mL/min以上の患者では6%であった。
切除不能進行再発大腸癌に対する一次治療として、FOLFOX+Bmab療法に対するSOX+Bmab療法の無増悪生存期間における非劣性が示された。SOX+Bmab療法は、切除不能進行再発大腸癌に対する一次治療としての新たな治療選択肢となりうる。
本論文では、FOLFOX+Bmab療法に対するSOX+Bmab療法の無増悪生存期間における非劣性が証明され、SOX+Bmab療法がFOLFOX+Bmab療法と並ぶ一次治療の選択肢の一つであることが示された。
ただし、Grade3以上の有害事象として,FOLFOX+Bmab療法では白血球減少及び好中球減少が有意に多く、一方でSOX+Bmab療法では下痢,食欲不振の頻度が有意に高かった。SOX+Bmab療法を行う際には、このような有害事象プロファイルの違いに留意する必要がある。また、SOX+Bmab療法には、中心静脈ポート造設や5-FU持続静注ポンプが不要という利点があるが、一方で、経口抗がん剤であるS-1がきちんと服用されるよう、患者指導をしっかりと行うことが重要である。また腎機能低下例では、SOX+Bmab療法による下痢の頻度が高いことに留意する必要がある。