牛尾 恭輔 国立病院九州がんセンター 放射線診断部
悪性腫瘍は全身の臓器や器官に生じるため、他の悪性腫瘍との整合性を図る必要があります。委員会ではまず、他の臓器や器官の18種類ある悪性腫瘍の取り扱い規約を詳しく検討して来ました。その結果、(1)目次や本文の中に「多発癌」や「重複癌」の項目、が記載されていない、(2)同時性、異時性についての記述がほとんどない、ことが判明しました。そこで、他の臓器に較べて多発癌や重複癌の頻度が多い大腸癌にて、標準となるような用語と定義を設定することの重要性が再確認されました。そして数年にわたり委員会で検討した結果、平成18年1月、大腸癌取り扱い規約委員会に最終案を提示し、了承を得ました。またこの最終案の要旨は、最新の大腸癌取扱い規約(第7版-2006年3月発行-)に掲載されました。そして、平成20年(2008年)1月に開催されました第68回大腸癌研究会(世話人、牛尾 恭輔)の主題の1つに「大腸の多重がん」があります。定義を明確にして、初めての主題です。各施設からの報告を踏まえて、わが国での実態を明らかにし、ホームページなどに掲載する予定です。また、代表的な症例の画像(X線、内視鏡、切除標本、病理組織像など)を掲載する予定です。