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直腸癌術後の便失禁のQOLへの影響に関する質問票

  • プロジェクト研究にて、直腸癌術後の便失禁によるQOLへの影響を把握するための質問票「mFIQL」を考案しました。
mFIQL質問票 mFIQLの点数化の方法

従来、下部直腸癌に対する標準術式は腹会陰式直腸切断術でしたが、1994年に Schiesselら1)により「括約筋切除を伴う肛門温存術」(Intersphincteric Resection:ISR)が提唱され、肛門を温存できる症例が増えてきました。しかし、ISRは内括約筋切除を伴うため、術後の肛門機能の低下による生活への支障が危惧されます。ISRが行われた患者さんに対しては、腫瘍学的な経過観察はもちろんのこと、術後肛門機能の評価も行っていく必要があると考えます。

そこで、大腸癌研究会プロジェクト研究「括約筋切除を伴う肛門温存術の妥当性」では、ISR術後の患者さん152例にアンケート調査を行い、術後の便失禁のQOLへの影響を把握するための質問票「mFIQL」を考案しました。

「mFIQL」は、Rockwood博士が 2000年に発表した調査票( FIQL)2)を、生活様式・対処行動に関する設問のみにしぼり、日本人にも回答しやすいような文言に修正した質問票です。これまで術後の便失禁のQOLに対する影響の評価には様々な指標が用いられており、比較や議論が困難でしたが、この「mFIQL」を用いることで同じ視点からの評価ができると考えます。

下部直腸癌手術を施行している施設の皆様に「mFIQL」を広く使用して頂くため、大腸癌研究会のホームページに掲載させて頂きました。是非ご利用ください。

注1)対象は術後半年以上経過した症例を想定しています。術直後の症例に対する評価における妥当性については、まだ検証されていません。
注2)対象は直腸癌手術による便失禁症例を想定しています。加齢による失禁や、痔などの肛門疾患の術後に対する評価における妥当性については検証しておりません。

(参考文献)

1) Schiessel R, Karner-Hanusch J, Herbst F, et al. Intersphincteric resection for low rectal tumours. Br J Surg 1994;81:1376–8.
2) Rockwood TH, Church JM, Fleshman JW, et al.  Fecal Incontinence Quality of Life Scale: quality of life instrument for patients with fecal incontinence. Dis Colon Rectum. 2000;43:9–16.

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