第21回

高異型度腺癌と低異型度腺癌
Adenocarcinoma with high grade and low grade atypia

加藤 卓(新潟大学大学院医歯学総合研究科)ほか

1.高異型度腺癌(管状腺癌高分化,一部中分化)

高異型度腺癌
癌の固有筋層内浸潤部
bの強拡大像

a:高異型度腺癌(管状腺癌高分化,一部中分化)。深達度pSSの2型進行癌。最大径19 mm。リンパ節転移陽性。表面は潰瘍化し,粘膜下層以深浸潤癌部が表層に露呈している。
b:癌の固有筋層内浸潤部。
c:bの強拡大像。核は腫大円形・卵円形で,明調なクロマチンパターンを示すが,ヘテロクロマチンの凝集像や核縁の不規則肥厚がみられる。明瞭な腫大核小体を有する。核の大小不同や極性の乱れもみられ,核細胞質比は1/2を越える。通常の進行癌で一般的にみられる細胞異型である。

2.低異型度腺癌(管状腺癌高分化)

低異型度腺癌
癌の漿膜下層浸潤部
bの強拡大像

a:低異型度腺癌(管状腺癌高分化)。深達度pSSの1型進行癌。最大径130 mm。リンパ節転移陰性。低異型度(進行癌)は,潰瘍形成を伴うものが少ない。
b:癌の漿膜下層浸潤部。一部に腺管内腺管像(腺管融合像)(矢印)がみられるが,比較的規則正しい管状構造が主体を占める。
c:bの強拡大像。核は均一紡錘形で微細点状の濃染クロマチンパターンを示す。核の偽重層は腺管の基底側ほぼ1/2程度までにとどまる。核の大小不同や極性の乱れはほとんどみられない。細胞質には粘液包が散見されるが杯細胞様の粘液貯留はなく,細胞質はほぼ均一好酸性で,核上部にゴルジ空胞は認めない。こうした病変が粘膜内に存在した場合は腺腫との鑑別が問題になるが,腺腫は低異型度癌に比べクロマチン増量がなく,粘液消失細胞では明瞭な核上部のゴルジ空胞がみられることが多い。

3.低異型度腺癌(管状腺癌高分化)

鋸歯状構造が認められる。
鋸歯状構造が認められる。
鋸歯状構造が認められる。

a:低異型度腺癌(管状腺癌高分化)。深達度pSSの1型進行癌。最大径25 mm。リンパ節転移陰性。粘膜下層以深浸潤部では幼弱な線維芽細胞からなる間質反応(desmoplastic reaction;DR)を伴わず,浸潤に伴って圧排変形した粘膜筋板や好酸性の成熟膠原線維で周囲を取り囲まれている。
b:癌の粘膜下層浸潤部。規則正しい形状の大型腺管からなる。
c:bの強拡大像。症例2に類似した組織所見だが,核クロマチンはより明調で核偽重層も腺管基底側1/3程度にとどまる。症例2と同様にこうした病変が粘膜内に存在した場合は腺腫との鑑別が問題になるが,核上部ゴルジ空胞を欠く好酸性均一細胞質が特徴的で鑑別点となる。

4.低異型度腺癌(乳頭腺癌~管状腺癌高分化)

低異型度腺癌
癌の粘膜下層浸潤部
bの強拡大像

a:低異型度腺癌(乳頭腺癌~管状腺癌高分化)。深達度pMPの1型進行癌。最大径107 mm。リンパ節転移陰性。潰瘍形成がなく,明らかな粘膜内病変(乳頭腺癌および管状絨毛腺腫)が残存している。癌の浸潤の主体は粘膜下層で,固有筋層で粘液結節(*)を形成している。
b:癌の粘膜下層浸潤部。比較的規則正しい管状構造を呈する。細胞内粘液産生が豊富なため,核は腺管基底側に圧排され核・細胞質比は1/4程度にとどまり,弱拡大または中拡大では粘液産生が豊富な腺腫に類似する。
c:bの強拡大像。強拡大では,腺腫とは異なり,核は円形~卵円形で明調なクロマチンパターンを示しヘテロクロマチンの凝集像や核縁の不規則肥厚がみられる。

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