トップページ > プロジェクト研究 > 終了したプロジェクト研究 > リンパ節構造のない壁外非連続性癌進展病巣に関する研究

リンパ節構造のない壁外非連続性癌進展病巣に
関する研究

望月 英隆 (防衛医科大学校 第1外科)

活動要旨

大腸癌の進行度分類は、深達度(T)、リンパ節転移(N)、および遠隔転移(M)を基準に規定される。リンパ節転移は壁外進展の主たる進展形態であるが、実際には壁外進展癌病巣の中にはリンパ節構造を伴わないものも存在する。リンパ節構造を伴わない癌病巣の扱いは、国際的な癌進行度分類であるTNM分類第5版(1997年)に初めて記載された。第5版では本病巣の径を基準とし、3mm以下の病変をT因子、3mmを越える病変はN因子と扱うと記載された(3-mm rule)。ところが第6版(2002年)ではこの基準が変わり、病変の辺縁が平滑なものをN因子、不整なものをT因子とすると定義された(contour rule)。

この変更は臨床の現場における混乱の原因になっており、また分類基準としてかならずしも妥当ではないとの指摘がある。第6版で分類の判定基準とされる病巣辺縁の性状は、主観的判断により判定され、検者間での差異が否めないという問題や、本基準の妥当性の検証が大腸癌において十分におこなわれていないという問題もある。

大腸癌取扱い規約では、第7版においてはじめてこの病巣の存在に言及がなされ、「腸管壁外の脂肪織などにリンパ節構造のない病巣があれば、それを記載する」という一文がリンパ節転移の説明の項に付せられたが、分類基準は明示されていない。現状では本病巣をstaging決定の際に考慮するのか否か、考慮する場合はN因子と捉えるか、あるいはT因子に分類するのかは、病理医や施設によりまちまちであることが想定される。

この様なあいまいな現状を改善すべく、大腸癌研究会主導のもと、複数施設からのデータ集積とこれに基づく解析をおこない、その結果を大腸癌取扱い規約に反映させることを目的とした本プロジェクトが発足した。すなわち、リンパ節として提出された組織と原発巣周囲に存在する壁外の非連続性癌進展病巣を包括的に評価し、病巣の有する予後への影響の重みと、病巣分類の客観性を根拠とし、この病巣の意義づけの明確化を図りつつ大腸癌取扱い規約の進行度分類に反映させることが本プロジェクト研究の目的である。

このページの先頭へ